スポーツに
よるケガ

スポーツ外傷は、転倒や衝突といった大きな外力が身体に加わり発生するケガになります。
一度の衝撃で起こるため、ケガの受傷原因が明確なことが特徴です。

 

●スポーツ外傷の原因

例えば、次のような状況にてスポーツ外傷が発生します。

・ラグビーで激しいタックルを受ける
・サッカーで激しく転倒する
・バスケのドリブルで急な方向転換をする
・格闘技で打撃を受ける

またスポーツ中に限らず、日常生活中の転倒や衝突、交通事故などでもスポーツ外傷が起こる可能性はあります。

 

●スポーツ外傷の種類と症状

接骨院で扱うスポーツ外傷には、例えば次のような種類が挙げられます。

・捻挫

関節周辺の組織（靭帯、腱、軟骨など）を損傷したケガです。
生理的な可動域を超えて関節が強く伸ばされたり、ひねられたりした際に発生します。
足首の捻挫が特に多く、靭帯の断裂があるケースでは、関節が不安定な状態になる場合もあります。

・打撲

身体の一部を強打して起こる、筋線維や血管など皮下組織を損傷したケガです。
痛みや腫れ、内出血などがおもな症状になります。

・肉離れ

筋線維を断裂したケガです。
筋収縮を起こすタイミングで、筋肉が強く伸ばされる方向に負荷がかかると発生しやすくなっています。
断裂の程度が大きいケースでは、患部がへこんでしまう場合もあります。

・骨折

骨組織が壊されたケガで、身体を強くぶつけた際に発生しやすくなっています。
骨折端が離れてしまった完全骨折では、通常ではありえない方向に骨が動いたり、変形したりする場合があります。

・脱臼

関節が外れてしまったケガです。
肩関節の脱臼が特に多く、外れた位置で骨が動かなくなってしまいます。

スポーツ障害とは、繰り返しの負荷によって発生したケガや痛みのことです。
一度の衝撃で起こるわけではないため、ケガの受傷原因が明確ではありません。

 

●スポーツ障害の原因

「オーバーユース（使いすぎ）」がスポーツ障害のおもな原因になります。
長距離のランニングやピッチャーの投球など、同じ動作の繰り返しで筋肉や関節への負荷が積み重なり、痛みにつながってしまうのです。
その他、ミスユース（運動フォームの間違い、負担のかかる身体の使い方をしている）やディスユース（オフ明けの急な運動、ウォーミングアップ不足）も、スポーツ障害を起こす要因に挙げられます。

またスポーツ外傷と同様に、「仕事や家事での手の使いすぎ」「肉体労働での同じ動作の繰り返し」など、普段の生活でもスポーツ障害が起こる可能性があります。

 

●スポーツ障害の種類、特徴

接骨院で扱うスポーツ障害には、例えば次のような種類が挙げられます。

・野球肩、野球肘

過度な投げ込みで、肩や肘周辺の組織を痛めてしまう障害です。
成長期の子どもに起こりやすくなっています。

・テニス肘

テニスのバックスイングにて、肘の外側に付着する腱に炎症を起こしてしまう障害です。
中年以降の女性に多い傾向にあります。

・オスグッド

ランニングやサッカーのキック動作で、膝下の軟骨を痛めてしまう障害です。
成長期の子どもに多くなっています。

・シンスプリント

長距離走やジャンプの繰り返しで、すねの骨（骨膜）に炎症を起こす障害です。

・腱鞘炎

手の使いすぎで、手首や手の指の腱鞘に炎症が起きる障害です。

スポーツ外傷、スポーツ障害に対して、接骨院では一般的に次のような施術が行われています。

 

●カウンセリング、検査

施術の前にカウンセリングを行い、患部の状態や原因を確認いたします。

 

●固定

安静が必要な場合、状態に合わせて包帯やテーピングなどにて患部を固定します。

 

●超音波

人間の耳では聞き取れない、高い周波数の音波（細かい振動）を患部に当てていく施術です。
超音波をあてることにより、炎症や腫れの抑制、損傷部位の治癒力向上が期待できるといわれています。
※超音波を毎日当てることで、骨折の治癒期間を40%短縮できることが分かっています。

またモードを切り替えると、超音波のマッサージ作用で筋肉の緊張を緩めたり、血行を促したりすることも可能です。

 

●ハイボルト

高電圧の電気を患部に流していく施術です。
電気刺激が神経に働きかけ、高い鎮痛作用を期待できます。
急性期から使用可能で、患部の血行を促すことにより、損傷部位の治癒力向上にもつながります。

 

●手技療法

カウンセリングや検査をもとに、原因と考えられる筋肉の緊張をほぐしていきます。
血流が促されるほか、もみほぐしによって安静で固くなった関節の可動域も正常に戻りやすくなります。

ケガの状態によって差はありますが、スポーツ外傷、スポーツ障害の施術期間は次の通りです。

 

●スポーツ外傷

骨折・脱臼は1ヶ月程度、捻挫や肉離れで2〜3週間程度の固定が必要だといわれています。
※重度の外傷（血行が悪い部位の骨折、靭帯の完全断裂など）では、2ヶ月以上かかる場合もあります。
またスポーツへの復帰を考えると、施術やリハビリの期間がプラスで1週間〜数週間（もしくはそれ以上）かかると考えられるでしょう。

 

●スポーツ障害

初期段階であれば、1〜2週間程度の安静で痛みはひきやすくなっています。
しかし、筋肉の硬さやスポーツでの使用頻度が以前のままでは、すぐにぶり返してしまう可能性が高くなっています。
そのため、1ヶ月ほどは患部への負担を軽くしつつ、施術を続けていくことが望ましいです。

野球肩やオスグッドなど成長期に起こりやすい障害は、軟骨を損傷することで後遺症が残るケースもあります。
放置せずに早めに処置を始めることが大切です。

ケガや痛みへの処置は、「安静・冷却・圧迫・挙上」を行う「RICE処置」が以前の主流でした。
しかし現在は、なるべく早期に患部を動かしていく「POLICE処置」の考え方が主流になりつつあります。

 

●POLICE処置

・Protect（保護）

包帯やギプスなどを巻いて、患部の安静を保ちます。

・Optimal Loading（最適な負荷）

損傷部位の治癒力を高めるため、患部に適度な負荷をかけます。

・Icing（冷却）

炎症を抑えるために、氷水を使用して患部を冷却します。

・Compression（圧迫）

腫れの広がりを抑えるために、包帯やテープなどを巻いて患部を圧迫します。

・Elevation（挙上）

患部を心臓よりも高い位置に挙上して、内出血を抑えていきます。

 

●医療機関、接骨院に行く

自己判断で患部を動かしていると、より症状を長引かせる可能性があります。
特に痛みや腫れが強く出ている場合は、外傷の専門家にみてもらうことをおすすめしています。

スポーツによるケガを防ぐためには、どのようなことが行えるのでしょうか？

 

●ウォーミングアップを行う

身体が硬い状態で運動を始めると、ケガのリスクを高めます。
軽いジョギングや体操など、ウォーミングアップを入念に行うようにしてください。
ウォーミングアップでは、筋肉を伸ばすストレッチは少なめにして、身体を動かしながら柔軟性を高めるようにしましょう。

 

●クールダウンを行う

運動後にクールダウンを行うことで、身体に溜まった疲労がとれやすくなります。
クールダウンでは、固くなった筋肉をゆっくり伸ばすストレッチが有効といわれています。

 

●テーピングを貼る

テーピングで関節の動きを制限しておくと、運動中の関節や筋肉にかかる負担を軽減できます。

 

●運動フォームを見直す

同じ部位を頻繁に痛めている場合は、負担のかかる運動フォームをしている可能性があります。
「動画を撮って確認する」「コーチや仲間にみてもらう」などして、一度身体の使い方を見直してみましょう。